思っていた以上に我々はプリンス様から愛されていた-劇場版マジLOVEキングダムの感想

アンコール5週目(各ユニットのじゃないやつ)の感想と、PSP時代から眺めてきた「うたプリ」へのぼんやりとしつつもクソデカ感情全部乗せです。全部褒めてばかりではないので、ご了承ください。

劇場版「マジLOVEキングダム」がすごく良かった

1回目はこんな感じだった、劇場版「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム」。とにかくすごくて、楽しくて、最高でした。9周年でこんなにも新しいプリンス様たちの姿を見れるとは思わなくて、とても幸せでした。

私はPSPの無印(スチルがI.G.のやつ)プレイヤーです。もともとゲームオタクなのでゲームはリズムゲーム含めて一通り遊んでいて、あとは音楽を楽しんだりアニメもそこそこ見たり、舞台やライブやVR ZONEも運よくいくつか現地に参加できたり、たまにシャニスト行ったりナンジャ行ったり池袋の7周年イベ見たりとかしつつ、コンシューマのゲームを中心に楽しんでいたタイプ。まあ9年ともなれば好きは好きだけど、良くも悪くも慣れてしまっていたという感じですね。

そして迎えた、劇場版の公開。そんな感じでこれといって大きな期待はせず、かといってこれまでのアニメのクオリティを考えたら十分に楽しめるだろうと思っていました。結果、期待以上にすごかった。細かい演出を挙げたらきりがないけど、多少なりともライブの現場に行ったことのある人なら「こういうの見たことある」という現実的なラインを、人命とか消防法とか重力とかをちょっとだけ無視して、アニメだからこそできる、アニメだから見れた内容に仕上げている。想像で思い描けるリアルな「カッコいい!」の、もう一歩二歩先まで見せてくれた。

言葉通りの一夜城かよって感じで築かれたどでかい城もKAT-TUN以上の爆発も手品みたいな青い炎も空飛ぶ汽車も空飛ぶスケボーもステージ下からジャンプして飛び出してくるのも大量の水とめちゃくちゃな高さのリフターもperfumeみたいなプロジェクションマッピングもスモークにそったライトの光も開いたドームの天井に輝く満天の星空も、全部すごい。

個人的には、やっぱりカメラワークが好きです。絶対にあり得ない角度からの映像や、あり得ないタイミングでの抜きやアップが好きなだけできる。リアルにはリアルの良さがあるけれど、やっぱりこういう2次元ならではの「カッコよければ何でもアリ」っていうハチャメチャなやつもいい。とはいえ本当に現実ガン無視ではなく、ある程度「実際だったらこの辺りにこのくらいのカメラ用意してるんだろうな」みたいなのが何となく想像つく絶妙なラインがいい。1番好きなのはHE★VENSが乗ってる板を下から撮るアングルですね。

他のユニットもそうといえばそうなんだけど、アニメだとファンタジー感がすごくて、とくにHE★VENSは初期のアレキサンダー召喚(ファイナルファンタジー13感)のイメージが強烈だったのだけど、ごく普通(普通?)にアイドルやったらめちゃくちゃバランス良くてカッコいいのな。何となく周りでも「HE★VENSが良かった!」というの多かったと思う。

あとはとにかく歓声です。1度目は初週で応援上映だったけど、ほとんどお客さんがいなかったので静かなものでしたが、それでも歓声の大きさ、リアルさには驚きました。2度目はアンコール5週目で、通常上映だったんですけど、当たり前といえば当たり前だけど応援上映より3割くらい歓声が大きくなっていて、よーく聞こえました。

この手のライブ行ったことある人なら全部見覚え聞き覚えあると思うんだけど、例えば、最初の挨拶で推しのアイドルの名前を呼ぶ大声、ちょっと感傷的とか感謝的なコメント言われると「キャー!!」ってのじゃなくて「ハァン……」ってなるため息、食い気味に「ごきげんようー!」ってフライングするカミュの女、女子優勢の会場だと大体2回目で完成するとこまで完璧なカッコよすぎて許されない寿嶺二の男たちによる「マイボーイ!」へのレス、髪をかき上げただけで絶叫する真斗の女、レンの投げキスに死んだ女の悲鳴……たぶんもっとあった気がするけど。終盤なんかは、完全に号泣している女達の幻覚が私には見えた。それに、ペンライトを振る高さやリズムがみんな少しずつ違うのもいい。あそこで歓声をあげているのは、あの場にいるのは、まぎれもなく私たちなんだと実感できました。

うたプリって楽しいね」という言葉で溢れた

繰り返しになるけど「うたプリ」はそれこそ9年間、色々なことをやってきました。女性をターゲットとした恋愛系のゲームこそ、コーエーテクモゲームスの「ネオロマンス」とか、アイデアファクトリーの「オトメイト」とかほかにもブランドやゲームのメーカーはあったし、音楽(バンド)モノは結構あったと思う。

でも男性アイドルのコンテンツはそれほどなくて、少なくともここ数年で起きてた女性向けコンテンツ=アイドルみたいな状況とは程遠いもの。メディアミックスといえばアニメやCDやコミック・ノベル、ぎりぎり声優イベントくらいはまあ普通だったと思うけど、今でこそ当たり前になりつつある2.5次元の舞台や声優&バーチャルライブ、まして俳優メインのイベントなんてなくて。むしろこの辺りはごく最近、立ち上がって2年~5年くらいの作品のほうがそれ前提に進んでるから、ずっと計画的だと思う。

今思えば、急速に時代が変化するほんの少し前だったんでしょう。それに加えて「うたプリ」は、あくまでも「プリンス様は現実」というスタンスを取っています。そこにとことんこだわったのが悪いとはまったく思ってないけれど、だからこそ流れに対してやや後手になってしまっていたのかなと。とはいえ舞台もバーチャルも、それなりに普及して目が肥えた状態でもよく作り込んだものを出してくれたと思いますけどね(個人的に、舞台の2代目システムはマジでよく考えたと思う)。

ここから少し愚痴になるけど、限りなく先駆者なんだけど何もかもが後手なんですよね。比べるべきではないんだけど、ほかのとこが当たり前にやってることができなくて、とくにイベントにしてもグッズにしてもトラブルに関してはひっきりなしに溢れてて。頑張ってるのは分かるんだけど、どうしても足りてるとは思えなくてな。ほかのコンテンツが羨ましいという気持ちではなかったけど、なんともいえない感情というか、すっきりしないというか。自分の周りじゃ極端なネガティブ感情吐く人は目立っておらんかったけど(むしろ6thライブのときは自分が一番キレ散らかしてたと思うので申し訳ない)、いいことと悪いことが限りなくセット販売で素直に喜べないことの多いこと。もちろんずっとうまく楽しんでる人もいただろうから、自分の感情との折り合いというか、受け取り方の問題が一番大きいんだけどね。

あとアプリじゃなくて、コンシューマのほうのゲームが宙ぶらりんだったのも、なかなか感情が整理できない要因の1つだったと思う。乙女ゲームの時代の流れを考えたら仕方ないんだけどね(そもそもゲームのシナリオも全部受け入れてるわけじゃないんだけど)(今やったら変わるかもしれんがDebutはだいぶ納得してない)。

それで劇場版。マイナス感情がまったく目につかないわけじゃないけど、でも、何だか久しぶりに色んな人が「うたプリすごいね、楽しいね」って話してて、めちゃんこポジティブな感情に溢れてて「どうにかこの楽しさを周りに伝えたい!」って気持ちになってるのがすごいなと思いました。とくに今回は映画で、日付や座席の決まったライブや舞台やイベントじゃないから、概ね誰でも気軽に見に行けたのもよかったと思う。都心は特典もあって土日完全に埋まってて戦争続いてるけどな。

映画だから、例えばちょっとジャンルから離れててなんとなく尻込みしたくなる気持ちとか現実的な問題とか色んな理由で諦めてたような人でも見に行きやすくて、その結果たくさんの人が口にしたのが「うたプリって面白い」だったの、すげーことだよね。企業への文句も不満も忘れたわけじゃないし、なかったことにはしないけど、それ以上に「好きーーーー!!!!!」って気持ちでいっぱいになった。なんかこう、PSPのゲームやってた時とか、アニメ始まった頃とか、ライブ行けるわけもなくて円盤出てからTwitterのフレンズと同時上映してた頃とか、ああいう友達で「たーのしー!!」って騒いでた時の気持ちを思い出したんです。あと私にとってうたプリはコンシューマのゲームだから、9周年でゲーム発表されたのもよかった。いつになるか分からんけど、待ってます。私はゲームで喋る瑛二を待ってたんだ。

プリンス様は我々を愛していた

根がゲームオタクというのもあって、うたプリは完全に第三者目線というか、春ちゃんを通して眺める作品って意識が強くて、自分が介入するなんて微塵も思ったことはありませんでした(そういう意味でVRはすごいプリンス様と向き合えるコンテンツだったんだけど、いかんせん触れられた人数がファン全体のおそらく一握りっていう)(アプリは全然触れてないんだごめん)。

恋愛ゲームとしてはプリンス様と春ちゃんを外から眺めてて、人間としてはトキヤ様が好きだけど結婚させるなら絶対レンって騒いでたり(自分含めた周囲のレンへの信頼感は異常)(あと個人的に蘭丸も許してる)(寿嶺二も許してるけど春ちゃんと結婚するなら俺を倒してからにしろ感も異常)、アニメもなんとなく春ちゃん視点だし、我々は春ちゃんを通してプリンス様の素顔も知ってしまっているからあの世界の純粋なファンとも違うし、ライブはライブで「プリンス様は現実」だと思っていたけど、逆に我々は現実ではない架空の存在のようなものだったから直接目が合っていたような気はしないし(6thで寺島拓篤氏に憑依した一十木音也の幻影をはじめ色んな幻覚は見たけど、あくまで演じてくれている声優さんがせいいっぱいキャラクターに寄り添ってくれているという現実のラインはあったし)、どんな展開でも外から眺めてるっていう感覚しかなかったと思います。

2次元ってのを差し引いても彼らはアイドルで、そんな彼らと目が合うことなんて一生ないと思ってた。

でも、アンコールで彼らがこっちを向いて「愛してる」って言ってくれた。

その瞬間、9年分を積み重ねても微々たるもので決して大きいとは言えないんだけど、本当にわずかなもんなんだけど、でも確かに注いでいたプリンス様への愛が、運営とか声優さんとかそういうのじゃなくて“2次元のアイドルたち”にも伝わっていたと感じられて、頭が真っ白になったわけで。

いやもう泣くとかじゃなくて、めっちゃくっちゃびっくりした。久しぶりに引っ張り出したくまプリ握りつぶすとこだった。だって我々がプリンス様を愛するのは当たり前のことだけど、彼らが外側にいる我々のことまで愛してくれてるなんて思わないじゃないか。伝わったらいいなとは思うけど、本当に伝わってるなんて思わないじゃないか。次元を超えたとかじゃなくて、次元を隔てているのに、愛してるって伝わって、愛されてるって伝えてくれるなんて思わないじゃないか。どういうことなんだよ本当に。

これって終盤のMCで彼らが今までを振り返ってくれて、その時の気持ちを言葉にしてくれたのも大きかったと思う。漠然としていたし、何がとは具体的に言わなかったけど、これで本来事情を知らなかったあの世界のファンもそれを知って、我々と近い目線になったような気がしたんですよね。だから、よりあの場にいるファンは我々で、我々が見つめる先にプリンス様がいるんだって信じられた。前から何度も言ってたけど「プリンス様は現実」の意味が、またひとつ形を変えて自分たちの前に現れたんだと思う。

我々の愛するプリンス様が、我々を愛してくれている。これが分かったら、もう無敵じゃないか。

最初は劇場版が集大成であり頂点だと思ったけど、みんな歌でもMCでも、過去を振り返りつつも先のことばっかり言ってるんだよね。まだこれは通過点なんだっていう、ありきたりだけど未来の可能性を感じることができたのも嬉しい。もちろん作品に永遠なんてないし、気持ちだってずっと同じでいられるとは限らないけど、プリンス様に愛してるって言われた現実は絶対に消えない。

ありがとう…そして、これからも。

これにめちゃめちゃ集約されてると思う。本編ではここが一番グッときた。

あと「ウルトラブラスト」の真ん中にはラブが詰まっているところも。

プリンスさまは、愛なんだ。

「愛してる」で感情が振り切れすぎて無になりかけたけど、トキヤのオタクとしては本当に音也には…音也には感謝しかない…。ありがとう…君ならそういうことしてくれるよね…本当にありがとう。

次の週でまたアンコールの中身が変わってST☆RISHに戻るらしいのだけど、見そびれた自分としてはいいんだけどこの今やってる、18日までのやつも見てください!!あと2日しかねーけど!!