幕末オープンアクションRPG「Rise of the Ronin」でTeam NINJAの“手触りのいいアクション”の意味を知った話

コーエーテクモゲームスの開発チームのTeam NINJA(チーニン)の幕末オープンアクションRPG「Rise of the Ronin(ローニン)」を、実質プラチナトロフィー取るまで遊び倒しました。だいたい1カ月ちょいで90時間ほど遊ぶ程度にはのめり込んだし、だいぶ気が狂いました。タイミング的にPC版っぽいけど、プレイしたのは長いこと寝かせてたPS版(CERO:Zのほう)です。ストーリーのネタバレは別記事でまとめてます。

 

いやチーニンゲー、オモロすぎひんか?!

結論だけ先に言うと「オメガフォースのアクションなら問題なくできるけどチーニンのアクションはちょっとォ……」って感じで「仁王」とか「NINJA GAIDEN」とかは何となく避けてたくらいのプレイヤーが、チーニンのアクションを体感するのにちょうどよすぎるタイトルです(自己紹介)。コーエーテクモゲームスのゲーム全般、ネオロマンスも含めて履修しているとなおヨシって感じで、めちゃくちゃ間口は広いです。個人的に、最終的に気が狂った着地点が「Ghostwire: Tokyo」に近かったので、オープンフィールドアクションRPGとしてもあのへんの操作に問題なければ十分楽しめると思います。

いや本当に、体験版とかで「無理!!!」ってなって、何となく避けてたチーニンゲーが今後ずっと発売日に買うゲームの選択肢として日常に入り込んでくることになろうとは……というのが衝撃でした。

 

ネタバレしてるのはこっち

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幕末の有名人が揃い踏み、アーネストサトウは空を飛ぶ

本作の舞台は幕末の日本で、黒船来航~江戸無血開城までの主な出来事を概ね史実どおりに進めていくアクションRPGです。主人公は幕府に対抗すべく秘密裏に育成された、二人一組で戦う「隠し刀」と呼ばれる存在で、2人分のキャラメイクが必要になるのは「ドラゴンズドグマ」とか「フリーダムウォーズ」なんかにもあるタイプですね。

勘のいいオタクならこの時点で“気配”を察知しているかと思いますが……。

冒頭で2人のうちどちらをプレイヤーにするか選ぶイベントが発生して、以降はソイツを操作することになります。このタイミングで、生き別れた「片割れ」を探すのが主人公の目的となります。このキャラメイクしたもう1人の相手が主目的になるの、チーニンはオタクの感情の置き場をよう分かっとる。聞いてるかフリーダムウォーズ、差が出るのはそういうとこやぞ。

 

時代背景上、登場する人物は倒幕派または佐幕派に属しているケースor海外勢力ってパターンが多いです。主人公も生まれの立場としては幕府に恨みを抱くので倒幕派ですが、最初は一介の浪人なので倒幕も佐幕も関係なく、RPG的に困っている相手を手助けするような感じで進みます。まあ最初に知り合うのが坂本龍馬なあたり、もう歴史への介入が不可避なわけですが……。

基本的には「幕末といえばこのへんだよね」っていうあるある史実の登場人物で、倒幕派桂小五郎高杉晋作大久保利通西郷隆盛佐幕派井伊直弼勝海舟徳川慶喜新選組って感じです。幕末の知識の大半がゲームとジャンプなので意外とそのへんで見ない久坂玄瑞が出てくるのがへぇーって感じなのと、坂本龍馬が主人公の相棒的ポジションで概ね中立だったのが(史実どおりだけど)ふぅーんでした。ちょうど先日、公式アンケートがあったので、そこで自分の好きなキャラを書き出していくとびっくりするほど佐幕派ばかりで笑いましたね。

なんかアベンジャーズみがあってオモロだから皆ここでスクショ撮ってる説

あとは海外勢から誰でも知ってるマシュー・ペリーに、ネオロマンス界隈なら誰でも知ってるアーネスト・サトウ、我らの光ジュール・ブリュネとかね。剣客としての資料が残ってる人間も、そうじゃない人間も色んなサムシングを膨らませてどいつもこいつももれなくヤベエぶっ殺殺ポンマシーンに仕上がってます。福沢諭吉とかは史実バフがあるから仕方ないけど、不殺を貫いてるわりに強すぎるやろがい!!

一番納得いかないの、なんでアーネスト・サトウ立体機動装置で戦うんですか???

海外勢はあえてのオーバーテクノロジー満載らしいけど、それにしたってなんで出てきたのが立体機動装置なんだよ(2回目)

登山靴を広めたからジェットブーツにしたってチーニンが言ってた!!エンタメがすぎるやろ!!

 

それはそうと異なる正義でぶつかり合ってはいるものの、誰もが日本の未来や信じた相手のために戦う、人格者とまでは言わないけどかなり粋な人間として描かれていますね。新選組単体が使命に殉じたみたいな悲劇のヒーロー的な描かれ方はよくあると思うけど、この手の創作で幕府側もかなり魅力的に描いているのはあんまり多くはないのかな、という勝手な印象です。勝海舟はともかく井伊直弼も相当イケオジ枠だったしな……。井伊直弼界隈(界隈?)、いいキャラが多すぎるんだけど史実は覆らないので悲しいね。

ただし吉田松陰、テメーはダメだ。

倒幕派の面倒くさいとこの原因って全部こいつのせいだろ。

あとアレクサンドリア・モロー、こいつ二次創作の1コマ目に利用できる便利アイテム導入以外に一体何の役割が……??

 

それとキャラクターのユニークなとこといえば方言!だいぶ力が入ってて、これ海外だとどんな感じになってたのか気になるな。薩摩の連中の方言がキツくて、俺主人公が選択肢で「……なにて??」みたいな反応すんのウケた。

 

ちょっと展開上のネタバレになるけど、片割れという目的があるものの浪人として倒幕派佐幕派をフラフラしている俺主人公にも立場をはっきりさせるタイミングがでてきます。ただ、どっちを選ぼうがどっちにも肩入れするし、よくも悪くもあんまり影響がありません。

RPG系によくある「A派になったからB派関連のクエストは受けられません!2周しろ!」とか「A派とB派で仲間にできる人間が変わります」みたいなこともなく(※選択によって色々展開が変わること自体はアリ)、あとで重要な決断を迫られるミッションは一度選んでも選択をやり直して結果の上書きができる。時間制限や取り返しのつかない要素を、ネタバレを恐れながらインターネッツの海をさ迷って拾い上げる必要もない親切設計でしたね。プラチナトロフィー取得まで、意味不明な部分もなく取得の概要を読めば完結できます。

 

ただ親切ではあるけど、多少の要素の差はあれど、それゆえストーリー的にどうしても派閥を選ばなきゃいけない理由もないから分けられたところで意味なかった気がするとこはある。最初からどっちでもない浪人一本でよかったんでね??アタマから2周強要されたらそれはそれで面倒だけど、もう少し倒幕か佐幕ならではの展開がほしかったなー。

あと、誰も彼もが「さっきまで敵対してたけどそれはそれ、これはこれ」っていうか、よくいえば裏切りを気にしない非常におおらかな扱いになるのが、ね。佐幕と倒幕を反復横跳びしながらストーリーが進む展開上、気持ちは佐幕なのに倒幕ムーブ(逆も然り)することになるし、主人公も相手もお互い死ぬ気で殺し合った後とかに顔を合わせて、各所で「どの面下げてここにいるんだオメー??」って状況が頻繁に起きるのがちょっとオモロでした。オモロだけど「いいんかこれ??」とはなる。

ローニンどの面オブジイヤー優勝候補なんだけど、こういうのが山ほどある

それとシステム周りの余談だけど、キャラメイクありのゲーム(とくに海外風の)って男性装備が軒並みダサいというバグが永遠に改善されないんですが、本作は和洋折衷でどう装備してもなんとなくイイ感じでどうにかなりますね。「討鬼伝」とかもそうだったんですけど、男性装備がそこそこいい感じになるの、本当にそれだけで減るストレスがめちゃくちゃある。いわゆる重ね着(モンハン)みたいな外見のみ変更もできるし、キャラメイクもいつでもやり直せるので装備に合わせて髪型変えたいとかも簡単にできていいですね。

服の質感とかは結構凝ってたと思うので、もう少しキャラメイク時の肌が簡単にキレイになればよかったなー!ファンタジーなんだから陶器肌くらい許せ。「モンスターハンターワイルズ」は洋風ベースだから根本的には好みではないんだけど、トゥルトゥル肌を作り出せたのは評価してるので。まあ、キャラメイクのベースは「仁王2」だったらしいので、ここが一番の問題点だったと思う。ベースの土台が古い問題。たぶん「仁王3」はここ改善されてると思うし、もうちょっとこのへんオメガフォースと知見を共有できないものか。まあ表情筋とかの問題もあるんでしょうけどォ……。ライティングの影響もあるだろうけどムービーシーンで瞬間的に(とくに片割れが)ブチャッてなるのがつらかった~~~~!!!もっといついかなるシチュエーションでも可愛くあれ~~~~~!!!

いつでもどこでも富士山が拝める、それだけで意味がある

フィールドは史実の出来事に合わせて横浜、江戸、京都を行き来します。古地図を参考にしたという地形を含めてのリアルさと、シンボルマークとしてのウソ(その時代にないだろ的な建物)のバランスもがよかったなーと思います。一番目立ってたのって、何だかんだ富士山ではなかろうか。いくら現代と比べて平地だからって江戸や横浜からあのサイズでは見えないと思うんだけど……見えないよな……??

 

ストーリー上は不可逆として進むけど、あとで回想という体で戻るのもできる追憶システム(EX:ゴッドイーター)も完備。自分が遊んだ範囲でいえば「Horizon」とか「サイバーパンク2077」とか「ホグワーツレガシー」とか「Ghostwire: Tokyo」とかみたいなマップが完全地続きのオープンフィールドではないです。でも各マップが狭いかっていうとそういうことでもなく、アクションとかもろもろの要素に通じるものがあるけど「隅々まで探索しても広すぎず、狭すぎないちょうどいいサイズ感」なんですよ。

ファストトラベルもアクセスいい場所に設置されてるし、走りながら馬を呼べる(超重要かつ超快適ポイント)し、要するにハンググライダーの滑空できる「阿鼻機流(アビキル)」も序盤に解放されるし、鉤縄ポイントで高所にも移動しやすいし、何よりこれらが止まることなくスムーズに切り替えられる。オープンフィールドって「移動がどれだけ快適か」がプレイ体験にものすごく影響しがちなので、ここのバランス感覚はものすごくチーニンから気を遣われたと思いますが大成功大正解ありがとうございますでした。走りながら馬を呼んでさっと乗れるの、本当にストレスフリー。

ストレスフリーといえばファストトラベルのアクセスポイントに触ると一定のアイテムが自動補充されたり、不要な装備の分解を設定できたりするのも最の高。所持品に上限はあるけどだいぶ余裕のある設定だし、プレイヤーにとってただただ面倒くさくなるポイントを先回りで快適にしてるのほんとチーニン……しゅき……ってなる。

その時代にないとはいえ後世には存在する建造物はともかく、木造とはいえ風力発電みたいなやたらデッカ風車が鎮座するとか誇張こそあれど、町も生活感に溢れすぎるくらい溢れてて(その辺に死体が転がりまくってるのも含め)、フォトモードが捗るはかどる。雨が降ると町人が慌てて、傘を差しはじめるのもよかった。フィルターとかもまあまあ凝ってて、ショートカットも設定できるのがよかった。「FF16」とかそこ惜しかったんだよな……起動が面倒くさいフォトモードすきじゃない。グラフィックについては、個人的にはいくらかぼんやりした部分はあるけどつつくほど気になるもんでもないかなって気がします。

 

何よりゲーム始める前にコンフィグ見てたら、フィールドに落ちてるアイテムを近づいただけで回収するオプションを用意しているのを見た瞬間に100点中2000点加算したわ。くだらないことを言う人間のためにわざわざオプションにする配慮、あまりにも天才すぎる。この世から早くフィールドのアイテム拾うのにボタンを押させる無駄なゲームが根絶されますように。マジでな。

 

収集要素も、ならず者が救ってる拠点を解放する治安(の改善)、お尋ね者の討伐、シンボルマークでありだいたい現代で有名な観光地になってる名所、そうした場所を撮る写真撮影、ステータスアップにつながる社、アイテム収集にも役立つうえに可愛い猫とか色々あるんですけど、そういうのを集めていくと自然に次の段階が解放されていって最終的にはほぼ全部収集要素がマップに表示されるんですよ。

ローニン式ねこあつめ

この段階的ってのがミソで、オープンフィールド系って最初に全部お出しされてること多いけど、多すぎて「さてどっから手をつけるか……」って途方に暮れるし、そういうの気になったら延々回収ばっかしちゃうんで「ちょっと頑張れば完成して次の探索エリアに移動しよう」って細かくタスクの達成感を得られる仕組みがよかったです。おかげで探索要素とサブクエストを全部埋めてから心置きなくメインを進めることができて、パーセンテージ表示されるのに中途半端なところで止めざるをえないみたいなストレスが一切なくて本当に最高だった。

治安の悪いところでは他のプレイヤーが捕まってて、助けるとその場限りの協力体制を築けたりする場合もあるし、気づかれなければ「アサシンクリード」みたいに背後から一撃もできたりするし。鉤縄で高所から引きずり降ろしたり、落ちてる火炎樽とか刀を鉤縄で引っかけて敵にぶつけたりとか、誉を浜に埋めればどうとでもなる要素が多いのも、主人公が「武士」ではなく、オールマイティな技術を備えた「隠し刀」って存在なのもデカいのかなーとか。真っ向アクション以外の手段が豊富なのも、アクションに絶対の自信があるうえでのプレイヤーにストレスを与えないための余裕って感じがしますね。こだわりはあっても「簡単にクリアされたら悔しいじゃないですか」的な変なプライドを持ってないっぽいところがエライ。

 

それとローニンのユニークな要素のひとつが「因縁」です。キャラクターと、ミッションに同行してくれるNPC「徒党」の成長に不可欠で、端的に言えば仲が深まれば深まるほど多彩なボーナスが受けられるっていう感じですね。キャラクターの因縁の行き着くところは「比翼の契り」っていう特別な関係で、これはだいぶルビパあじ。実際このへんでアクションゲーム兼業ネオロマンサーだいぶ釣られてた気がするな。

この因縁が土地にもあって、土地の探索要素を解放していくと土地との因縁が深まって、色々なアイテムが手に入りやすくなるとかメリットも大きいんですよ。単にキャラクターを気に入ったから仲を深めようとしてもいいし、探索要素を潰さないと気が済まないとかでもいいし、動機自体は何でもいいけど「何かをすればプラスで返ってくる」ってのがイイネ。あと最初は野山を駆け回らないと手に入らない素材が、土地と因縁を深めておけば時間経過でポンポン手に入るようになるし。もともと前述のとおりちょっと移動で走ってれば素材回収しやすくはあるんだけど、狙った素材が道中に生えてるかどうかは微妙なので、段々と便利になっていくのがこれまたプレイヤーにとってストレスフリーでチーニンのこと無限に愛してしまう……。

ただまあ、強いて言うならハクスラというか敵からのドロップや宝箱から出てくる武器をどんどん変えていくタイプなんだけど、武器の強化やスキル継承なんかはノーマル以下ではやる意味なかったんで(やるよりさっさと装備更新したほうが早い)、暗夜でのエンドコンテンツとするなら別にクリア前に解放されてなくてもよかった気はする。

チーニンの売り、手触りのいいアクションの意味を知る

本作は前提としてRPGなので主人公にレベルの概念はあるんだけど、フィールドに雑魚がぽこぽこいるタイプではなく、メインストーリーとサブクエストをクリアするとレベルが上がっていくスタイルです。なので低レベルクリアみたいなことも、逆にちまちまレベルを上げて物理で殴ることもできません。その分、ある程度の決められた幅でボスと戦うことになるので、真っ向勝負となるとそれなりのヒリヒリ感を味わえるようになってます。ここはよくも悪くも、というところかもしれないけど。

サブクエストを全部やってから挑むとまあまあ有利な状態で戦えるし、逆にメインストーリーだけで突っ走ればトントンか少々不利くらいで戦えたんですかね。まあ一対一のバトルを楽しみたいなら道場があるし、ストーリーでは大抵のバトルで徒党を連れていけるので易しすぎず難しすぎずのバランスは取れてたように思いますね。

 

余談だけど、CEDECで「メインストーリーに経験値を振ったから想定から逸脱はしなかったけど、代わりに低レベルクリアみたいな遊びはできなくなった」みたいな話をしていたけど、そこ「Ghostwire: Tokyo」みたいに「経験値自体は入手できるけど経験値をレベルに変換するためにワンアクション必要」みたいなシステムにしたうえで、現行みたいにエリアとかメインクエの導線で経験値の上限設けておけば低レベルで遊びたい人間と両立できたんじゃないかなと思ったり。まあこっちも一回セーブで清算する必要あったけどさ。


バトルのキモになるのは敵の攻撃を捌く、いわゆるパリィアクションの「石火」ですね。これがまーーー面白い!うまく決まると時代劇のようなチャンバラ感とか、俺Tueeeeeeeeeeeeeな気分も味わえるし。移動アクションもすごくストレスなく操作できるよう丁寧に作りこんでいるのが分かるけど、それもそれとしてやっぱバトルがおもすれーんだわ。

ローニン、本当にマジでただ単純にバトルがめちゃくちゃ面白い。

 

こうやって石火の練習してるのが一番楽しかったかもしれない

ローニンは武器の種類と「流派」でだいたい攻撃の型みたいなのが決まってて、自分が使い込んでいっても、色んな敵と遭遇していっても、どっちにしろ自然と知見が深まっていく仕組みになってるんですよね。流派っていわばモーションの使いまわしといえば使いまわしなんだけど、それがシステムとして登場しても何の不思議もない時代背景だし、それが駆け引きの面白さに一役買ってるんだからスゲーわ。

だからゲームを進めれば進めるほど攻撃パターンが自然と読めるようになって勝ち筋を見出しやすくなる。防げる攻撃は防御して、弾けるタイミングを把握できるときは石火、無理な時は回避、コンボに閃刃を交えて気力を回復する、みたいなリズムが取れるようになるまではそこそこ反復練習したけど、一度この基礎的な判断が構築できれば、あとはひたすら実戦あるのみでしたね。

で、この流派ごとに使いこなせる技がまた因縁にも関わってきて。師匠と弟子のように相手との関係性が深まったからこそ伝授された、みたいな捉え方ができるしマジで因縁システム万能か??まであるな。あと、出身とかが近い連中は流派も同じことが結構あるんですよね。あらゆるシステムがキャラクターに「物語」を付与できる流れになってるの、盤石すぎるのでは……!!

あと流派とかもそうだけど「自分がやることは敵もできる、自分への制限は敵も制限される」っていう基本ルールが徹底されていたのもよかったですね。敵もアイテムを使うし、気力(スタミナ)にも限界があるから無制限に打ち込んでこないし、武器を変えて相性を変えてくるし、徒党だって組むし、心を燃やして気焔を使ってパワーアップする。いい部分も悪い部分も、全部がお互い様だから、こうするならああしようって戦うほどにこっちの対応力も上がっていく。

滅茶苦茶やってくるボスもいるけど(主に西郷隆盛オメーだよ)(清水の舞台から飛び降りるってそういうことじゃねえから)(そのうえツン殿を連れてくるな可哀想だろ)、初見でボス固有の対応力を求められるのはだいぶ限定的で、基礎さえしっかり固めておけば大抵の状況に対応できる。これはリアリティのある幕末を描くうえで、仁王みたいに妖怪とか化け物は出せないので同じ人間同士でしか戦えないっていう制限があったからこそかもだけど、理不尽を感じることが少なく、自分なりに努力しやすい導線が整えられたのかなーという印象です。


それと難易度も3段階に分かれているので、この手のアクションに基礎がない(おれだよ)タイプはまず薄明(イージー)で十分に実戦を積んで、慣れたら黄昏(ノーマル)にするみたいなルートもできるし。チーニンゲープレイヤーは最初から宵闇(ハード)を選んでクリア後の暗夜(色々ヤバい)にいけるし。薄明だと大抵の攻撃を防御で受けても気力が残ってるけど、難易度上げると防御しきれずちゃんと石火も取り込んでいかないとちゃんと捌ききれなくなるってのがめっちゃいいバランスでした。敵の気力も視認できるから、ギリギリまで攻めるのか安全を取って一旦引くのかの駆け引きもアツかったな。

仁王とかみたいな、いわゆる死にゲーにせよ、高難易度系アクションにせよ、ボス級の敵に対して何度も戦ってクリアしていくのが醍醐味だと思うんですけど、我々みたいなアクション雑魚は要求に対する耐性が低いので普通にやったらすーーぐ心が折れます。

そこで我々みたいなアクション雑魚を「雑魚はしね!!」と見捨てず、難易度だけでなく「アクションで気持ちよく敵を倒してカタルシスを得られる導線」をすごく考えてくれているなーという気持ち。道場に延々こもって、ひたすら特定流派への対策練習もできるしね。自分は普段あんまり道場みたいな練習場にこもって反復練習みたいなのするタイプじゃないんだけど、ローニンはむしろ一対一の打ち合いで綺麗に石火が取れるようになっていくのがめちゃくちゃ楽しいし、こここそがエンドコンテンツだと思う。道場がなかったら、薄明で無理やりゴリ押しするだけでチーニンのアクションの面白さを何も知らずにただクリアしてただけだろうなーと心底思う。

アクション下手人(へたんちゅ)がローニンをプラチナトロフィーまでプレイできた理由

宗教上の理由で比翼だけ残しているので、誰でもいいから告白さえすればプラチナトロフィーってところまでやりました。オメガはトロフィーが何かやたらめったら難しいイメージだけど、チーニンは思いのほかユルくて全部取るかーって気になれたの意外だったな。

いきなり脱線するけどニンジャガも複数の難易度設定あったし……なんかチーニンって初心者お断りのイメージずっとあったけど、実はめちゃくちゃユーザーフレンドリーで優しいのがローニンで理解できました。初代「仁王」の体験版が自分にとって難しすぎたとはいえ、偏見の塊になっていましたね。今からでもウォーロンとかニンジャガをやるべきか……悩ましい……ッ!!

 

話を戻して。自分は前述のとおりチーニンゲー初で「オメガフォースのアクションなら問題なくできるけどチーニンのアクションはちょっとォ……」って感じで生きてきたので、黄昏でプレイ開始したものの序盤はペリーですらズタボロ。自由度が高まる横浜にたどり着くまでは薄明で無理やり突破しました。サイバーパンク2077で、少しだけ「真っ向勝負せずステルス暗殺したほうがめっちゃラクでは??」と気づいていたのでね(アサクリではむしろ正面から殴ってたことが多い蛮族)。そもそもでいえば敵の感知がヌルすぎなのもあるけどヒット&アウェイする貧弱アサシンムーブしながら進めてたけど「これじゃあ流石にアカンやろ」と先人の知恵を拝借して石火のタイミングを学習。道場にこもって、ひたすらペリーと打ち合ってから黄昏に戻してプレイしてました。

言い訳すると「全部の攻撃を石火で弾かないといけないのだ!!」みたいに勝手に思い込んでたのがアレすぎていたんだ……。まあ技術的には可能なんでしょうけど。

世の中にはイージーを選択したら負けという認知の歪んだ不思議な感性のプレイヤーも一定数いるようですが、やはりプレイヤーの幅を広げるには難易度を複数設定するのにこしたことはないですね。実際に選ぶ選ばないはさておき「いざとなったら下げるという選択肢がある」だけで得られる心の安寧はデカいですよ。同じゲーム内で、高難易度を担保するのに低難易度を設定しちゃいけない理由は別にないですからね。「我こそは高難易度もデキるハイパーナイトである!!!」とワザマエを自慢ないし証明したいならプレイ動画を出せば済む話ですし。

いわゆる死にゲー的な高難易度ゲームも、あとで変な調整を入れて理不尽さの緩和に走るくらいなら、最初からアクションRPGをちょっとかじってるなら努力でクリアできるくらいのノーマルと、歯ごたえを求める人間向けのハード(+クリア後にさらなる高難易度はアリ)くらいの2軸で行けばユーザー層も広がるし高難易度を楽しみたい人間にとっても変な緩和でバランス崩される可能性も減るだろうし全員丸く収まってハッピッピーだと思うんですけどね。「FF7リメイク」シリーズはクラシックとかで住み分け頑張ってる気がするけど。難易度設定があること自体を許せない人間はもう介錯して差し上げて。

 

それと繰り返しになるけど、道場みたいに練習できる場が設けられているかだなー。時間が許すなら道場で延々修行してしまっていたはず。「FF16」ではタイミングもあって、道場的なやつあったのにあんまやりこまず無理やり突破してしまったのがもったいなかったかもしれないとローニンを経て今更後悔するなど……。下手人にはやりこむという発想がそもそのねえのだ。

下手人にさっさと与えるべきのは勝利(成功)体験と成長の手応えなので、同じ敵を相手に「石火を取れる回数が増えた」とか「より体力を削れた」とか、自分なりの小目標で少しずつ前進していけたのが本当に楽しかった。最終的に同じ流派を揃えた連戦とかもできるし、ここがエンドコンテンツ。いわゆる死にゲーはボスにたどり着くまでが面倒なことが多い感じなので、こういうカジュアルな練習がしにくいのがね。もちろんゲーム性としてこういう練習が合う合わないはあるので、死にゲーにもこういうのよこせという話ではないんだが。


あと、初心者向けTIPSを出してくれる有識者 is GOD。石火のタイミングとかすげー参考にさせてもらいました。最近、格ゲージャンルでもこういう神を見かけることちょいちょいあったけど、初心者に手厚いプレイヤーはまじで神だわ。まあ当然ながら、それなりの規模のジャンルでないないと充実しないものだけど。

俺Tueeeeeeeeeeeeeなタイムアタックやらノーダメやらコンボ動画とかはほっといても勝手に出てくるけど我々クラスにはまったく参考にはならんので、下手なりのあがき方TIPSみたいなものがほしいんだよね。「自分でどうにかしろ甘えんな」と言われてもまあ反論はできないですが……。こういうプレイヤーの有無ってゲーム側が選べるもんでもないんで、だからそういう稀有なファンを公式でもフォローしてくれるとこっちも助かるんだけど。現状はプレイヤーの完全なる善意で成り立ってるんだよなーこれ。

また話が逸れるけど、バンダイナムコエンターテインメントの死にゲー「CODE VEIN」でも、基本的にプレイヤー&バディがボスと戦う2体1スタイルなんだけど終盤に2対2を強要されるステージがあってこれがまーーーしんどい。つらい。でも上手人(うまんちゅ)は正攻法で突破してるから全然参考にならん。そんな中、とあるプレイヤーが「アイテムでめちゃくちゃバフを盛って盛って盛りまくってバディにヘイトなすりつけつつ一体をできるだけ速攻落とす」みたいな“解”を出してくれててな。

我々みたいなのが求めてるのって、まさにこういうことなんだよ!!!

ローニンでも「厳しいときはヘイト取ってないキャラに切り替えて殴ると安全です^^」みたいなアドバイスちらほら見かけたけど、目の前の敵の相手でいっぱいいっぱいの人間が?徒党がどこにいるのか把握して?よしんば切り替えができたとして画面の視覚情報がリセットされるわけで?そこでまた敵を認識して効果的に殴るとか?できるわけねーやろがい!!っていう。

このCODE VEINの教えは、ローニンでも実戦してます。防御に徹して徒党に削ってもらうのを待つとか、強化+補助アイテムをばかすか持ち込むとか、ローニンは敵も徒党を組んでいることが大半なので開幕に最大火力(火縄銃)を叩きこんで1人を瞬殺するとか。もちろんゲームなんだから努力することは大前提なんだけど、アクション下手人は初心者向けの戦術を編み出してくれる善意の有識者と、誉を浜に埋めればどうとでもできる懐の深いゲーム性に生かされています。

 

ところで道中で見かけたコレ、何だったの。暗夜とかで収集できる家具だったんだろうか。